たとえば、下記のトースター回路では、黒のワイヤー(熱線)がトースターの金属ケースに短絡されています。回路が閉じると、すべてまたは一部の回路がトースターのケースを通じた経路をたどり、緑のアース線に流れます。十分な電流(通常 6 x 15 A = 90 A)が流れると、回路ブレーカーが開きます。5mA という低電流を検知するために保護リレーを設置することで、非常に低いレベルでも回路ブレーカーが開き、通常の回路ブレーカーより極めて迅速な対応が可能になります。

上記の例は確実に接地された単相回路ですが、後に説明する 3 相回路でも原則は同じです。リレーおよびモニターは、電流、電圧、抵抗、温度のわずかな変化を検知し、表 1 に示される主要な故障誘因を特定するために設計されています。
漏電リレーが誤ってトリップする原因にはどのようなものがありますか?
高調波、高周波のノイズ、特に第 3 高調波は電気システムに存在し、故障電流として現れることがあります。ユーザーがさまざまな可変周波数のドライブ、インバータ、蓄電池 / UPS、さらには LED 照明まで使用するようになり、電気的ノイズの問題は広がりつつあります。不要なトリップを防ぐためにも、高周波やその他のノイズを測定してしまうことのない高品質の漏電リレーをお選びください。
非接地システムの代わりに接地システムを使用するメリットは何ですか?
非接地システムで最も懸念されていることのひとつは、過渡過電圧のリスクです。断続的な漏電やアーク放電の伴う漏電が起こるとシステムの電圧は上昇し、絶縁体に圧力がかかって劣化を招き、システムの電圧が通常の 6 倍以上にもなることがあります。また接地システムのメリットとして、漏電の場所を簡単に特定できることも挙げられます。非接地システムは、初回故障箇所に地絡電流が流れる経路を提供しないため、電流ベースのソリューションは故障の検知には使用されません。代わりに、電圧ベースのソリューションまたは絶縁モニターを使用して、障害の存在を検出します。
しかし、故障した位相の電圧はシステム全体で低下するため、故障箇所を特定するのは非常に困難です。接地システムでは電流ベースの漏電リレーが使用できるため、故障の箇所が正確に分かります。
故障の種類はいくつくらいありますか?
故障には、相間、3 相、地絡の 3 つのタイプがあります。相間故障(「短絡回路」)は、デバイス内に過剰な電流が流れ、ワイヤーが焼き切れることで起こります。ダンキ・ジェイコブスの教本によると、故障の 95% は地絡で 4% は相間故障、1% が 3 相故障であることが分かっています。
漏電リレーの働きを教えてください。
電気回路では、電流はもとのソースに戻ります。電流ベースの漏電リレーは、次の 2 つの方法のいずれかで地絡電流を検知します。1.) ゼロシーケンス。この場合、リレーはソースから戻って来る電流が同じコンダクタに流れているか位相コンダクタを監視します。異なる経路(通常は地面)をたどってソースに戻ってくるものがあれば、その差を漏電リレーが検知し、さらにそれが所定の時間内で設定されている範囲を超えていた場合はリレーが作動します。2.) 直接測定。漏電リレーは、変圧器の中間点と地面との間の接続の電流を測定することもできます(中性点接地抵抗器付きの場合も可能)。システム内のどこで漏電が発生しても電流はこの経路を通って戻ります。