アーク放電リレーが重要な理由
アーク放電リレーは、システム内の入射エネルギーの量を減らすため、電気キャビネットに必要なコンポーネントです。アーク放電リレーでアーク放電の発生を防ぐことはできませんが、放電の程度を軽減することで重要な資産や従業員の安全を守ることができます。アーク放電リレーは、損害を最小化し、コストや時間を節約して命を守るアーク放電保護スキームに不可欠なコンポーネントです。
一般的なアーク放電事故におけるエネルギーの量
480 V のシステムにおける 20,000 アンペアの故障電流での相間故障には、9,600,000 ワットの力があります。過電流保護が作動するまでの200ミリ秒間に仮にアーク保護がなく、不具合が生じたままの状態だと仮定すると、放出されるエネルギーは約2メガジュールに達することが考えられます。これはダイナマイト1本分程度のエネルギーに相当します。
アーク放電のエネルギー公式:
エネルギー = 電圧 × 電流 × 時間
480 V × 20,000 A × 0.2 s = 1,920,000 J
所定のシステム電圧に対してアーク放電エネルギーを低減するには、時間と電流という2つの要素を調整することで行うことができます。時間は PGR-8800 または AF0500 などのアーク放電リレーを使って短縮し、アーク放電を素早く検知することできます。アーク放電リレーにより接続されている回路ブレーカーが瞬時にトリップし、反限時の遅延をオーバーライドします。電流は、限流ヒューズ、あるいは相接地短絡の発生に備える高抵抗接地を利用して抑えることができます。
アーク放電リレーを選ぶ際の主な検討事項とは
アーク放電リレーの最も重要な要素は以下の通りです。
- 反応時間
- トリップの信頼性
- 取付けの容易さ
- センサーの柔軟性
- ソフトウェア
- センサーの設計
- 不要なトリップの防止
- 拡張性
アーク放電リレーを選ぶ際に考慮すべき事項については、ホワイトペーパー 『アーク放電リレー選定時の重要検討事項』でより詳しく解説しています。
アーク放電の影響
アーク放電は制御されていない、激しい電気エネルギーの発光放電で、本来なら絶縁する媒体に電流が流れる際に発生します。アーク短絡の最も一般的な原因は絶縁不良です。これらの不良の要因は欠陥があったり老朽化した絶縁素材、不十分あるいは誤ったメンテナンス、ほこり、湿気、害虫(害獣)、人的エラー(テスト用プローブを不適切な表面に接触させた、またはツールが滑って通電導体に触れたなど)によって引き起こされる場合があります。
アーク放電事象は危険なもので、人(作業者)の命に関わる恐れがあります。OSHAによると、産業分野におけるアーク放電事象は、電気作業に関連する作業中に有資格者が遭う事故原研や死亡原因の約80%を占めるとされています。作業員の怪我が避けられた場合でも、アーク放電は機器を破壊し、結果として機器の交換やダウンタイムによる損失を被るのは避けられません。